今回は、私がカナダで大学生をしていたときに毎日のように実践していた英語練習法「シャドーイング」をご紹介します。
かなり長い記事ですが、これまでの経験談をまじえて解説。
英語を真剣に学習し、英語上達に励んでいるみなさんのお役に少しでも立てばとの思いがこもった記事なので、ぜひ参考にしてください。
シャドーイングとは
シャドーイング(Shadowing)とは、
英語の音声を聞きながら、その音声をマネして発音する練習方法
のことです。
シャドーイングは、
英語のインプットとアウトプット両方のトレーニング
になり、
英語4技能すべてのスキルを伸ばすことができる
んです!
もちろん、英語は1週間や1カ月でマスターできるような簡単なものではありませんし、正しい練習法じゃないと努力がムダになることも。
でも、正しくシャドーイングを継続することで、1年後には今とは全然比べものにならないレベルに上達しているはず。
私はカナダの大学時代、リスニングとスピーキングが大の苦手でした。
そのため、映画やドラマを観ながらシャドーイングをよくやっていましたし、今でも自宅で実践しています。
今でも「大得意!」とは言えませんが、大学入学前と比べたら格段に上達しました。
みなさんも目標としている英語のレベルに近づけるように、一緒にがんばってみませんか?
シャドーイングをする4つの効果
発音がよくなる
シャドーイングは、英語ネイティブの発音をそのままマネをする練習。
マネをすることで、正しい英語発音に近づきます。
正しい発音なら話し相手にラクラクと英語が伝わるようになり、コミュニケーション力がアップ!
外国人の友達と会話が楽しめる
英語でのプレゼンテーションが円滑になる
英検やTOEIC Speaking Test、IELTSなどのスピーキングテストに役立つ
リスニングが上達する
シャドーイングすることで、どの単語がどのように発音されているかを意識するようになりますよね。
そうすると、英単語や英語の文章が正しい発音とだんだん一致してきます。
練習を繰り返すうちに、相手の話していることが耳にすんなり入ってくるようになれば、リスニングが上達している証拠!
そうなると自信がついて、もっと英語学習にやる気が出てきますね。
私はカナダの大学に入る前、大学付属のESL(English as a Second Language)コースを受講しました。
そのときはリスニングとスピーキングが超苦手で、クラスの中でも落ちこぼれ気味。
実は、今でもこの2つは苦手意識を持っています。
しかし大学入学の夢があった私は、あきらめるわけにはいきませんでした。
そこで授業で使われたリスニング教材を借りて何回も聴いたり、それをシャドーイングしたりする練習をひたすらこなすこと4か月。
2クラス終えた後には、大学の入学テストに合格するだけの英語力がつきました。
海外の動画を字幕に頼らず観られるようになったり、オーディオブックを楽しめるようになる
話し相手に何度も聞き返さなくても済み、会話がはずむ
英検やTOEICなどのリスニングテストで高得点が望める
よく使われる表現や言い回しをひとかたまりで覚えられる
テキストを読むだけの練習だと、単語1つ1つをバラバラに発音してしまいがちですよね。
でも、シャドーイングをすることで、英語の表現や言い回しを1つのかたまりとして把握することができるようになります。
私が初めてシャドーイングで覚えた表現は、
What are you talking about?
です。
これが、「ワット アー ユー トーキング アバウト?」ではなく、
「ワタユトーキナバウトゥ?」
と言ってるんだ、と脳が本当に理解したときに、かなり衝撃を受けました。
まるでヘレン・ケラーが「水」を知ったときのよう!
このシャドーイングで意識できたポイントがこちらです。
youは、日本語の「ユー」ではなく、「ユ」と「ヤ」の間に近いような軽い音である
talking aboutはgが抜け、リエゾンして「トーキナバウトゥ」に聞こえる
aboutの「t」は「ト」ではなく、母音がない子音だけの「t」音である
それ以来、「What are you talking about?」はひとかたまりで覚えていますし、単語1つ1つをバラバラに発音することもなくなりました。
talking aboutのgが抜けずに、軽いgで発音されているときもあります。
シャドーイングのときは、しっかり音声を聴いて完全に同じ音になるようにマネをすることが大事です。
例えば、「Play it by ear.」
「臨機応変にやる」とか、「その状況によって対応する」というような意味の言い回しです。
せっかくなので、ここで覚えてしまいましょう。
Lisa: Let’s go to a restaurant this weekend.
週末にレストランに行こうよ。
Bob: Sounds good! What do you want to eat?
いいね!何が食べたい?
Lisa: Play it by ear.
そのときになったら、決めよう。
リエゾンやリズム、イントネーションを意識したひとかたまりで発音するため聞きやすい英語になり、聞き手に負担をかけずに済む
プレゼンテーションでのスピーキング、大学のレポートやビジネスレターなどのライティングのときに、自分の伝えたいことが表現しやすくなる
英検やTOEICなどのリーディング、リスニング、ライティングに役立つ
英語をしゃべるための口の筋肉が鍛えられる
英語をしゃべっていて、日本語よりも口が疲れるなと思ったことはありませんか?
私は何度も経験しました。
英語って、日本語にはない口や舌の動きをすることがあるんですよね。
マラソンを完走するにはそのための練習が必要なのと同じように、英語を話すにも口の筋肉を鍛える必要があります。
例えば、「w」の音。
日本語の「わ」よりも、もっと口を突き出さないと、wの音は出ません。
シャドーイングでしっかりこの音を出せるように何度も練習することで、日本人が発音しづらい音、日本語にはない発音が楽に出せるようになってきます。
長時間、英語で話をしても疲れにくくなる
噛んでしまいがちな英語の単語や文章が、すんなりと口から出てくるようになる
英検などのスピーキングテストの発音対策になり、点数アップが望める
シャドーイングのためのおすすめ教材
これまでの経験上、シャドーイングはとても効果があります。
でも、間違った練習法だとほとんど効果が上がらず、悲しい思いをするかもません。
ここでは、レベルに合わせた教材をご紹介します。
初級
単語の意味や言い回しなど理解しないまま、むやみにシャドーイングしても効果は得られません。
ぜんぜん知らない言語を単に口でマネただけでは、まったく使いものにならないのと同じです。
いくらクオリティーの高い音声やテキストであっても、話すがスピード早すぎたり内容が難しすぎたりしてはダメ。
効果が現れにくいだけでなく、挫折する可能性が高くなってしまうからです。
使っている教材が「自分には難しすぎるな」と思ったら、その教材はひとまず閉じて、もう少し簡単なものを試してみてくださいね。
音声とテキストのある教材を使って、言葉の意味をしっかり理解した上でシャドーイングすること
自分のレベルに合った教材を選ぶこと
Basic Grammar in Use
初心者さんにおすすめの教材は、「Basic Grammar in Use」。
「Grammar in Use」は売上3000万部を超えるベストセラー英文法書で、海外の語学学校やESLでよく使われていたり、英語学校の先生がオススメしたりする超人気の本です。
英語学習者がこの文法書を持っていて損することはありません。
ご紹介した「Basic Grammar in Use」は、3レベルのうちの初級にあたります。
例えば、Unit 3の一部分はこんな感じです。
全て英語ですが、図や絵がふんだんに使われていて、とてもわかりやすく説明してあります。
練習問題も、最初に答えの例がついているため、英語だけでも理解できるように工夫されていますよ。
ちなみに私は、初級、中級、上級の3冊を全部買いました!
小学生の子供に、しっかり文法を教えるためです。
英語の文法書って、難しい漢字が使われていたりして、小学生だと読めなかったりするんですよね。
その点、この文法書は英語で書かれているから、小学生でもOK!
「Basic Grammar in Use Student’s Book with Answers and Interactive eBook」と書かれているものを買うこと
この本を買うと、なんと、音声のついたeBookまでおまけでついてきちゃいます!
でも、間違えて本だけを買ってしまうと、音声もeBookもありません。
表紙の左下に「Includes ebook with audio」と書かれているかどうかチェックしてから、購入してくださいね。
私の場合、iPadでebookを読めるようにしました。
先ほどと同じUnit 3のページの一部を紹介しますね。
デジタルなので、画像がとてもきれい!
それだけでなく、音声もついています。
ページの左側にある白い矢印のついた赤いボタン(図の青い四角で囲った部分)を押すと、
She’s eating.
She isn’t reading.
It’s raining.
The sun is’t shining.
と音声が流れます。
文法書なだけに、とてもきれいな発音が収録されていますし、音が割れて聞きにくいなんてこともありません。
Basic Grammar in Useの例文には日常会話でよく使われる文章を取り上げてられいるので、しっかり文法を覚えて発音するだけでもかなりの英語力アップにつながること間違いなし!
文法だけでなく、単語、日常表現、発音、ライティングも鍛えられる本なので、ぜひこの本を買ってシャドーイングを実践してみてください。
Grammar in Useは、本当に良書です。
英語学習者であれば、いつでも文法をチェックできるようにこの本を手元に置いておくことをおすすめします。
Grammar in Useの基本情報や、初級、中級、上級レベルの違いについてなどは、また別のブログ記事として紹介していくつもりです。
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EEVideo
EEvideoとは、映画やアニメ、ニュースを楽しみながら英語を学ぶサイトです。
英語学習者に役立つ機能がついている
動画が1000本以上
カテゴリーが豊富(社会、政治、歴史、映画、化学、トラベル、アニメなど
子ども向けコンテンツもある
特におすすめのポイントは、日本人の英語学習者向けに機能が取り揃えられていること。
再生速度を細かく設定できる
ルビ訳、訳がつけられる
句や節で文を分割できる
全画面表示にできる
スマホアプリはダウンロードできる
動画のレベルが選択できる、再生速度が変えられるだけでなく、ルビ訳がつけられたりします。
また、句や節で文が分割されているので、パッと見ただけでも意味のまとまりが理解しやすいです。
実際にルビ訳がついたり分割されているのがわかる画面がこちら。
文の区切りは、自分が実際に英語を話すときにも活用できますね。
スマホアプリではダウンロードもできるので、通勤時間やちょっとした隙間時間に学習できちゃいます。
EEvideoは、全動画が見放題で30日間1000円のサービスです。
1000円を出す価値はあると思いますが、無料視聴できる動画が10以上あるので、まずはそれで試してみてください。
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中級
初級の教材もオススメですが、中級者はもう少しレベルの高い方法も試してもいいかもしれませんね。
ここでは、2つの教材をご紹介します。
歌と歌詞
歌が好きな人は、ぜひ歌を完全コピーする練習をしてみてください。
教材は、歌の音声と歌詞です。
歌は、
バラードのようなゆっくり発音されているもの
自分が楽しめる曲
を選んでください。
また、歌詞を確かめながら、また意味をしっかり理解しながらシャドーイングしてくださいね。
個人的に、ディズニー系がオススメ。
私の場合、「A whole New World」と「Let it Go」を子どもと一緒に50回以上歌いました。
いや、100回ぐらい歌ったかもしれません。
「ディズニーとかはちょっとな…」という人は、自分の好きな歌でかまいません。
最近のアメリカンポップなら、BabeとTaylor Swiftの「Sugarland」はいかがでしょう?
ゆっくり、はっきり発音されていますし、Youtubeの英語字幕機能をつければ歌詞を確かめながら一緒に歌えますよ。
発音やイントネーションなどを完全コピーして、歌手になりきって歌おう!
動画配信サービス
ここでのシャドーイングの教材は、Amazonプライム、NetflixやHuluなどの動画配信サービスによる映画やテレビシリーズ。
これまでに説明したシャドーイング教材よりもちょっと難易度が高いですが、生の英語を生のスピードで聴いて発音するいい練習となります。
ここで注意してほしいのが、
英語字幕(キャプション)で観ること
です。
日本語字幕は、内容理解には役立ちます。
でも、聞き取れなかった英単語や文章を確かめることはできないんですよね。
英語字幕でしっかり英語を確かめながらシャドーイングすれば、リスニング、発音ともに確実に上達します。
実は、同じNetflixやHuluでも、アメリカ版の方が日本語版より動画の数が多かったり、アメリカ版にしかないシリーズなどあったりするんですよね。
また、アメリカ版であれば英語字幕がつけられます。
日本のHuluには、英語字幕がつけられるものも多少ありますが、全部ではありません。
Netflixの場合、普通に契約しただけでは、海外のNetflixライブラリにアクセスできません。
そこで役立つのがVPN。
VPNを使うことで、海外から日本の動画配信にアクセスできたり、地域規制された海外の動画を日本から視聴できるようになります。
ブロック解除できないVPNプロバイダもあるので、契約する前に忘れずに確認してくださいね。
ちなみに、私はNordVPNを使っています。
VPNに関してはいろいろなブログ記事を公開しているので、興味のある方はぜひどうぞ。
日本のHuluとアメリカのHuluは運営が違うため、アメリカのHuluに登録するにはアメリカのクレジットカード情報などが必要。
上級
オーディオブック
ここでのシャドーイング教材は、オーディオブック。
英文は見ずに、音声だけを聴きながらシャドーイングします。
メリット
テキストを用意する必要がないので、手軽に始められる
デメリット
テキストがないので、聞き取れない英単語や文章を確かめることができない
テキストがないので、上級者向きの練習方法と言えるでしょう。
突然ですが、私は翻訳者です。
忙しい日には、1日10時間以上コンピュータを使って仕事をすることも。
そうすると1日の終わりには目が疲れて、本を読んだり海外ドラマを観たりするのもけっこうツラくなるんですよね。
そんな私が毎日どうやって英語を楽しんでいるかというと、
オーディオブックで小説を聴く
こと。
夜ベッドに入り、イヤホンをしてオーディオブックを聴いています。
そして、疲労困憊していないときには、シャドーイングも実践します。
AmazonのAudible(オーディブル)には30日間の無料体験サービスがあり、最初の1冊はなんと無料でもらえちゃう!
無料体験後に退会しても、もらった本を返却する必要はありません。
ちなみに、私が手に入れた本は、
Michelle Obama(ミシェル・オバマ)の「Becoming」
です。
この本は海外で爆発的に売れた超人気の本で、紙の本やKindle版も販売されています。
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ミッシェル・オバマの知性にあふれた力強いメッセージが、声から伝わってくる名著。
英語ネイティブにしてはゆっくりとしたペースのスピーチで、とても聞き取りやすいです。
1冊4300円するebookなので、無料でもらえて本当にラッキーでした。
もしまだAudibleを試したことがないのなら、30日間の無料体験で1冊お気に入りの本をもらっちゃいましょう!
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下のブログ記事では、7000円以上もする英語教材が、Audibleの30日間無料体験でもらえる方法も公開しています。
よかったら参考にしてください。
シャドーイングするときのポ5つのイント
自分に合ったレベルのテキストを選ぼう!
むやみにシャドーイングしても、効果はあまり出ません。
自分のレベルにあった方法を選びましょう。
このブログ記事でお話した英語初級、中級、上級者別のアドバイスを参考にして、自分に最適な方法を見つけてくださいね。
分からない単語や言い回しは、ちゃんと調べて理解しよう!
知らない単語を知らないまま発音しても、結局は猿まねしているだけになってしまいます。
せっかく英語の学習をするのなら、ついでに語彙力も上達させちゃいましょう。
自分のシャドーイングの音声を録音してみよう!
自分の声を録音して聞くのって、けっこう恥ずかしい行為です。
私はあまり好きじゃありません。
でも、自分の音声と英語ネイティブの音声を聴き比べることで、しっかり差が見えてきます。
この差が縮まったら、自分の発音が英語ネイティブに近づいている証拠。
この方法は恥ずかしいですし、自分の発音の粗探しはツラいかもしれません。
でも、実行することで発音がきれいになるのなら、やってみるしかないですよね。
みなさん、一緒にがんばりましょう!
なりきろう!
「なりきり行為」も、他人に見られたらけっこう恥ずかしいです。
でも、自分1人のときになりきってみてください。
映画やドラマの主人公になりきるもよし、私のようにエルサになりきって「Let it Go」を歌いまくるもよし。
もしお子さんがいるのなら、一緒に歌ってください。
お子さんの英語の発音も上達しますよ。
最初は口が回らなくてもOK!
英語の発音に慣れていないと、英語が出てきません。
英語を発音するための筋肉が鍛えられていないので、口の動きが固いんですよね。
でも、何度も練習をしているうちに、スラっと英語が出てくるようになります。
あきらめずに練習に励みましょう。
発音するときに5つのポイントを意識しよう!
ポイントは5つ。
- 母音と子音
- 単語のアクセントの位置
- リエゾン
- リズム
- イントネーション
最初からぜんぶを意識して発音するのは難しいかもしれません。
まずは母音と子音が音声と同じ音になっているか、次はリエゾンするべきカ所をちゃんとリエゾンできているか、など、1つ1つ丁寧にシャドーイングしてみてください。
慣れてきたら、1つの文章をひとかたまりとして発音してみたり、文章全体のリズムを確かめてみてください。
こうやって意識してシャドーイング練習を繰り返すことで、これまで適当に発音していた音が正しい発音へと変化を遂げていくはずです。
どれくらいシャドーイング練習するといい?
どんな勉強でも、量をこなすことは上達への近道ですよね。
これはシャドーイングも同じ。
だからといって、いきなり毎日2時間のシャドーイングをしろといっても、挫折してしまうと思います。
まずは、1日10分から始めてみませんか?
慣れてきたら、15分、30分と練習時間を延ばしていきましょう。
英語のレベルが上がってきたら、少し難しめの教材を使ってみるのもいいですね。
できれば毎日練習することをオススメします。
私の場合は、寝る前にオーディオブックを聴いてシャドーイング。
残念ながら毎日は実行していませんが、できるだけ、5分でも10分でも続けるようにしています。
最後に
まずは、シャドーイングを始めてみましょう。
ここがスタート地点です。
そして、続けてみましょう。
シャドーイングを実践したからといって、すぐに身につくものではありません。
でも、1年後、自分のリスニング力がどれだけ伸びたのか、自分の発音がどのくらいきれいになったのか、振り返ってみてください。
絶対に上達しています!
英語のリスニング、発音、話すことが大の苦手だった私がやってよかったと実感した英語上達方法の1つなので、間違いありません。
外国人の友達と楽しく会話できる、英語のプレゼンが怖くなくなる、そんな目標に向かってどんどん英語学習を進めちゃいましょう!