私自身、多読で英語が伸びたと確信している1人です。
数年前に受けたTOEICのスコアは950点で、今は翻訳者をしています。
でも、私の言うことでは、あまり信用性がないかもしれませんね。
では、理学博士、脳科学者であり、作家でもある、茂木健一郎氏の言葉でしたらどうでしょう?
この記事では、茂木健一郎氏の多読のすすめ(Youtube動画)の紹介や、多読のメリットやアドバイスなどについて、私自身のカナダでの経験談もまじえてお話しします。
多読は、脳科学者である茂木健一郎氏もおすすめの英語学習法
まずは、3分弱の茂木健一郎氏の動画をご覧ください。
英語を通していろんな世界を知る
英語を通していろんなことを学ぶ
多読を習慣づけることによって、単に英語を勉強するということ以上の宝物をえることになる
いかがだったでしょうか?
私はこの3分弱で、かなり「そうそう、そうだよね」と何度もうなずきました。
この動画を観た後は、「やっぱり多読ってよさそうだな」と感じたのでは?
そう思った方は、この下に紹介した、多読のメリットやアドバイスをぜひ参考にしてみてください。
多読のメリット
英文を読むのが早くなる
英文を多読すれば、英文を読むのが早くなります。
しかし、TOEICなどの得点を最短で上げたいと思う場合、そんな当たり前のことを忘れてしまうようです。
これは特に、英語検定の対策本だけで勉強していて、いつも時間内にリーディングが終わらない人にお伝えしたいです。
リーディングを早くするコツは、リーディング量を増やすこと、つまり、多読すること
たくさん読まなければ、読むスピードは上がらない
英語で英語を理解するスキルを磨く手助けになる
英語初心者の場合、英語を読むとき、脳内で日本語に変換しますよね。
英語を話すときも、まずは日本語で考えて、英語に変換しようとします。
しかし、英語にたくさん触れていると、少しずつ英語を英語のまま理解できるようになってきます。
私はカナダ在住のとき、日本語で話しかけられれば日本語、英語で話かけられれば反射的に英語で返事をするようになりました。
今、翻訳者として英語から日本語、日本語から英語への変換を日常的に行っていますが、実は、英語を英語のまま理解するほうがはるかに楽です。
知らない単語が出てきても、文章の内容から推測するスキルが身につく
カナダで英語を学習していたとき、先生にこう言われました。
本を読むとき、1ページのうちに知らない単語が知らない単語が2~3個以下のものを選ぶこと
5個以上出てくるのもは、明らかにレベルが高すぎる
特に多読をするときは、このルールを守ることをおすすめします。
知らない単語が1ページに2~3個程度なら、前後の文章からその単語がどんな意味なのかが推測しやすいからです。
知らない単語をすべて辞書で調べて覚える、というのも学習法の1つですが、わからない単語をあえて飛ばして読んだり、推測したりする練習は、実はとても大切。
TOEICや英検などの英語検定試験の長文読解で、正しい解答にたどり着くための必要なスキルです。
それに、誰かとの会話中や会議中に、いちいち辞書を引いていられない場合、意味を想像するしかありませんよね。
知らない単語が出てくるたびに「あれもわからない、これもわからない」とストレスをためるのではなく、「こんな意味なんだろうなぁ」とサラリと流せるように、多読中に練習しておこう
ストーリーと一緒に覚えることで、単語や文法が定着しやすい
単語帳に載っている単語をひたすら覚えるよりも、ストーリーの中で覚えた単語の方が頭の中に定着しやすいです。
単語だけでなく、文法もそう。
せっかくのチャンスなので、ストーリーを楽しみながら、ついでに英語の学習もできて一石二鳥、くらいの気持ちで多読をしていきましょう。
生の英語に触れられ、知識が増えたり、世界感が広がる
これは、茂木健一郎氏もおっしゃっていた通りです。
日本語だけでは広がらない世界感が、英語や他の言語にはありますよね。
私はここ数年間、「多読」ではなく、英語の小説を「多聴」していますが、それぞれの文化や価値観などを知ることができて、本当に楽しいと感じています。
確かに、日本語に翻訳された本でも、読まないよりは読んだ方がいいと思います。
しかし、原語で読むのと翻訳されたものを読むのでは、やはり違うんですよね。
英語を英語のまま理解するので、英語脳を鍛えられます。
ぜひ、その作者の書いたそのままの文字や文章を味わい、世界感を広げてみてください。
英語で多読をした経験談 in Canada
今ではTOEIC高得点取得者などと言っていますが、実は、昔は英語をそんなに読んでいませんでした。
20代前半までは、TOEFLやTOEICのための勉強や、海外の大学に入るための勉強ばかり。
それでも、超凡人であった私は、カナダに留学する前のTOEICの得点は800点くらいしかありませんでした。
「働きながら学習していたしね」なんて、都合のいい言い訳ですね。
みんな、同じ条件ですから。
多読をし始めたのは、カナダの大学になんとか滑り込み、授業を受け始めてからのことです。
初めは大学の教科書やテキスト
まずは教科書から、多読が始まりました。
専攻がビジネスだったので、読む本は経済学だの、会計学だの、ファイナンスだの、日本語でもまったくと言っていいほど知識のない用語を、頭の中に詰め込む必要がありました。
例えば、経済学の授業では、1週間に1章ずつ進んでいくため、毎週1章(だいたい20~30ページ)を予習することになります。
同じ本ではありませんが、上記のハードカバーで、ちょうどこんな感じのもの。
今から考えると、「そんなの、経済学の基礎中の基礎でしょ?1章は2~3時間の予習でOK」なんていう内容でも、入学当時は必死で、1章分を読んで理解するのに、10時間以上かけていました。
もちろん経済学だけでなく、別の授業も受けているので、全教科の予習時間だけでも週30~40時間だったことを覚えています。
毎週と言ってもいいくらい、office hours(先生の研究室に予約なしで訪れることができる時間)に足を運び、質問していました。
恥ずかしいことに、何度か「もう、できる気がしない」と、先生に泣き言を言った覚えもあります。
しかし、いろいろな授業を受ける中で、リサーチしたり、課題提出のために図書館で大量に本を借りてまとめたりと、少しづつ英語で本を読むことにも慣れていきました。
大学卒業の年には、日本語のようにはスラスラとは読めないものの、英語で本を読むことへの抵抗感はなくなった
この頃には時間の余裕もできたこともあり、教科書だけでなく好きな小説なども読み始めました。
好きな小説を読む
もともと日本語の小説は大好きで、1年間に50冊くらいは読んでいたと思います。
いろんなジャンルを読んでいましたが、東野圭吾や伊坂幸太郎、貴志 祐介、恩田 陸などのミステリーが特に好きでした。
そんな私が最初のころに手に取った英語の小説は、アガサ・クリスティのもの。
その中でもお気に入りが、”And Then There Were None”でした。
この本のワード数は、5万ワードぐらいのようですね。
アガサ・クリスティの英語は難しい文法や単語がほとんどなく、とてもわかりやすいので、ミステリー系が好きな方に超おすすめです。
また、大学を卒業するころ、とても人気があった”The Da Vinci Code“のハードカバーを友人に借りることができました。
Tom Hanksが主演の映画にもなったので、ご存知の方も多いかもしれませんね。
約15万ワードのかなり分厚い本ですが、話の面白さと、本の中の写真の美しさに魅了されながら、10日間くらいかけて読んだことを覚えています。
ミステリー好きには、この本はたまりません。
できることなら、ペーパーバックやKindle版ではなく、写真の美しさがわかるハードカバーで読んでほしい1冊です!
ちなみに、映画も観ましたが、個人的には本のほうが絶対に楽しいです。
The Da Vinci Codeを読み終えたとき、「私、頑張った!」と自分で自分を褒めてあげました。
しかし、同時期に同じ本を読み終えたカナダ人の友人と話をしていたら、「4日間で読み終えた」との返事が!
ネイティブとの違いに驚かされ、また、自分の読書量の少なさを実感したできごとでした。
興味のある雑誌を読む
大学でビジネス学部を専攻していたこともあり、大学でThe EconomistやTimesなどを読むようにすすめられていました。
はっきりいって、最初はまったくと言っていいほど理解できず、読んでいてもおもしろいと思えない状態です。
しかし、先生に読めと言われているのだから、読まないわけにはいかない。
そこで、タイトルを見ておもしろいそうだと感じたら読んでみて、つまらなかったらさっさとあきらめて次へ、おもしろかったら読み進めてみる、ということを繰り返しました。
そんなことを数か月間続けているうちに、少しずつ読める範囲が広がってきたのです。
こうなると、英語で社会や経済の知識が得られることに脳が喜び、もっと知りたいとの意欲が湧いてきます。
別にThe Economist や Times を読むべき!と言っているのではありません。
興味のある雑誌を、興味のある部分から順に読んでいけばいい
おもしろいと感じたら、そのトピックをどんどん追及してください。
読んでいてもつまらないのなら、その本は合っていないということ。
読みたいと思う本に出会うまで、読むことをあきらめないで!
多読前と多読後の、TOEICの点数
大学入学前のTOEICは800点くらい。
大学卒業後の点数は950点でした。
カナダで生活をしていたので、厳密にいえば多読のみの成果ではありません。
しかし、TOEICの受験前に対策をしなくとも、100点近く点数を上げることができたのは確かです。
特にこの時期は、リーディングの点数が伸びました。
やはり、単語量が増えたこと、文法的に説明できなくとも「なんとなくこれは違うな」との違和感フィルターが働くようになったことが、点数アップにつながったんだと思います。
まずは、1冊目から始めよう!
脳科学者の茂木健一郎氏もおっしゃっているように、まずは1冊読んでみましょう。
そこからすべてが始まります。
1冊読み切ると、達成感が生まれます。
そして、「次は、もうちょっと長めの本を読んでみよう」と欲が出てきます。
2冊目、3冊目と読み進むと、本を読み切ることに抵抗感がなくなり、楽しくなってきます。
「こんな言い回しがあるんだ」
「日本語の〇〇は、英語でこんな風に表現すればいいんだ」
そんな知識が増えていけば、自然と英語が上達します。
TOEIC対策本や英検対策本で得点アップ特化のための学習するのも悪くはありません。
しかし、ぜひこの機会に生の英語に触れて、いろいろな世界を経験してみてください。
多読するときのアドバイス
自分に合ったレベルの本を探す
初心者であれば、絵本から始めればいいと思います。
絵本なら、単語や文章の意味がわからなくても、イラストを見て理解できますし、基本的に1冊が短いので、挫折することなく読み切ることができるはず。
それ以上のレベルだと、知らない単語ばかりで全体の流れがつかめず、辞書なしで読むのがツラくなる可能性が高いです。
もし、どのレベルか分からないという人は、Pearson’s Graded Readerで調べてみてください。
ちなみにPeasonは、英語圏でとても有名な教育サービス会社で、数多くの書籍を出版、販売しています。
⇒ Pearson’s Graded Readerはこちらから
本を購入したい場合、Amazonの検索で”Peason English Graded Readers”と入れると、”Pearson English Graded Readers” や “Penguin Readers”などで出てきます。
ペーパーバックもありますし、Kindle版も選べます。
例えば、上記は「モンスターズ・インク」のペーパーバック。
Kindle版の中には、上記の商品のように、Kindle Unlimitedで無料で読めるものもあります。
私はKindle Unlimitedのメンバーなので、けっこうたくさんの本を無料で読んでいます。
興味のあるかたは、こちらからどうぞ。
自分の興味のあるテーマを選ぶ
コメディーが好きな人がホラーを読んでも楽しめませんし、コンピューターに興味があるのに宇宙の説明を読んでもつまらないと思うはず。
まずは、自分の好きなをテーマの本やテキストを選んでください。
多読することに慣れてきたら、少しずつテーマを広げて読んでみるといいと思います。
知らない単語が出てきた時の対処
多聴の場合、知らない単語が出てきたら基本的には飛ばし読みをする練習をすればいいと思います。
でも、せっかく英語の勉強をしているんだから、知らない単語を知らないままにはしたくない、という人もいるのでは。
知らない単語が出てくるたびに辞書で調べるのではなく、ひとまずしおりや付箋などで印をつけておいて、先に進もう!
そして、その日の多読が終了した後に、印をつけておいた箇所に戻って調べてください。
それであれば、飛ばし読みの練習にもなりますし、知らない単語の意味をしっかり理解することもできます。
多読の目標は、英語がずっと上達した理想の自分
- 英語で本を読む楽しさが広がり、知識が増える
- リーディングスピードが速くなり、知らない単語を推測することができるようになるので、英語検定で高得点を望める
- 多読で学んだ英単語を英会話で使うことで、スピーキングが上達する
英語の多読だけでなく多聴にも興味のある方は、こちらの記事がおすすめです。